タイでの仮想通貨売却にかかる税金の考え方と税率について

thumNail

投稿日:2021年12月9日 | 最終更新日:2024年2月23日

今回はタイの仮想通貨売却にかかる税金の考え方と税率についてまとめました。現時点での情報となりますので、新しい情報が入り次第、随時更新していきます。Youtubeチャンネルでも同様の情報を発信していますので、ぜひご覧ください。

仮想通貨売却にかかる税率は本当に15%?

タイの仮想通貨の税率を調べていくと「利益の15%」という記事をよく見かけます。

JETROにもこのように書かれているので、多くの人がその認識だと思います。

仮想通貨税(Cryptocurrency Tax)(2018513日官報掲載、2018514日施行)

歳入法の改正により仮想通貨(ビットコイン等)による利益は、収入としてみなされ、15%の所得税の対象となる。

・ 仮想通貨の所有による売り上げまたは同種の利益
・ 仮想通貨の譲渡により得られた利益

一方、日本の仮想通貨の税率は、雑所得として最高税率55%が課税です。

(住民税10%、所得税45%)

この情報だけを見るとタイの税率の方がはるかに安いと思ってしまいますが、調べたところタイの仮想通貨の税率は15%ではなさそうです。

タイでは仮想通貨はどのように課税される?

タイで2018年に発令された「Emergency Decree on the Digital Asset Businesses B.E. 2561」という資料より、仮想通貨に関しては課税所得の8分類(40(1)~(8))のセクション404)のサブカテゴリーに下記が追加されたようです。

The share of profits or any benefits of a similar nature derived from holding or possessing digital tokens (section 40 (4) (h)), and
The benefit derived from the transfer of cryptocurrency or digital tokens which exceeds the cost of the investment (section 40 (4)(i)).

上記の通り、デジタルトークンの保有、組成、移転により生じた利益に対して課税されるようになったのは間違いないですが、実際どのような税金が掛かってくるのでしょうか。

これについては取引所での源泉徴収制度とタイの個人所得税を理解する必要があります。

取引所での源泉徴収について 

税制上では、まずはタイの仮想通貨取引所にて売却など損益確定し銀行に送金した総額の15%が源泉徴収されることとなっております。

下記のBitkub記載を見ると、個々の損益把握ができない旨が書かれておりますが、これは個人の仮想通貨の取得原価を把握することが困難な為と思われます。
その為、銀行への送金総額の15%が源泉徴収となっているようです。

ただ、記載の通り源泉徴収自体、現在は実施されていないようです。



 

個人所得税への算入 

取引所が源泉徴収を行わなかったとしても、納税の義務がなくなった訳ではありません。
その他の個人所得と合算して申告する必要があります。

資料や記事を確認すると、PITPersonal Income Tax)とはっきり書かれています。
つまり、タイの仮想通貨取引所で売却した利益は個人所得として0~35%の累進税率が適用されます。

計算の一例として、給与所得60万THBの会社員が仮想通貨で160万THBの利益を上げた場合を見てみましょう。
控除は本人控除・経費控除・保険料等で20万THBとし、会社にて2万THBの源泉徴収があったとします。

【タイの個人所得税率】

参考資料
Taxation of Digital Assets: New Law Issued - KPMG Thailand (home.kpmg)

参考資料
What are the taxes on Cryptocurrency in Thailand and do I need to pay tax? (belaws.com)

参考資料
thai-tax-booklet-2020-2021-jp.pdf (pwc.com)

まとめ

タイでは仮想通貨に源泉徴収15%という情報が出回っている事で、仮想通貨にかかる税率が15%と認識している人が多いかと思いますが、実際は個人所得となる為、他の所得と合算して所得税(最高35%)として確定申告をする必要があります。

ただ、海外資産から発生した収益は同年中にタイに持ち込まなければ課税無し(セクション41)となりますので、実際はタイで仮想通貨への投資をする人のほとんどは海外の取引所を利用していると思います。
※タイ政府はBinance等の海外取引所の利用は違法であるとタイ国民に対して警告をしています。
一方でタイではコロナ禍で失われた観光収入を穴埋めする為に仮想通貨の税を優遇して海外から資金を呼び込もうという案も検討されているようです。

仮想通貨の税金については今後変わる可能性もあります為、詳細は国際会計事務所等の専門家にご相談することをおすすめ致します。
弊社でも新しい情報が入り次第、情報を随時更新していきます。

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投稿者プロフィール

碓氷 厚樹
碓氷 厚樹Director
大手保険代理店にて主に外資系保険の営業を担当。在職中に全国1位の販売成績を獲得。その後、海外勤務を希望し商社に転職。3年間タイ駐在を経験し、その際Global Support(Thailand)Co.,Ltd.と出会い経済教育の重要さに気付く。2021年11月タイ赴任、自身の経験も踏まえ1人でも多くの方に経済教育への気付きを届けるため、持ち前の好奇心と行動力を活かし邁進中。
保有資格
・証券外務員1種
・ファイナンシャルプランナー2級
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