投稿日:2021年8月27日 | 最終更新日:2024年11月14日
タイ駐在中は日本の金融サービスの利用に制限があります。また、タイの金融機関を通じた資産運用を行うと本帰国後は資金の受け取りに困難が生じる場合があります。今回はタイ駐在中におすすめの資産運用方法をご紹介します。
まずは押さえておきたい注意点から見ていきます。
タイ駐在中の資産運用の注意点
タイ駐在員の資産運用で見落としがちな注意点は以下の3つです。
①資金受け取りのしやすさ
タイの金融商品はタイの銀行口座でしか資金を受け取ることができない場合が多いです。
また、一部の外国の金融機関は居住国の銀行口座以外で資金を受け取ることに制限をかけている場合もあります。
急に本帰国が決まった時などに資金をふたたびご自身の希望する国の銀行口座へ簡単に移せるかどうか、その他に引き出し時の手数料など「資金の出口の確保」を必ず事前に確認しておきましょう。
②受け取り時の税金
居住国の税制や取引を行う国の証券会社によって税の対応が異なる場合もあります。
タイはタイ国外源泉所得に対して、資金をタイ国内へ持ち込まなければ課税はありません。
タイや日本の税法を理解し、受け取り時の税金や、取引を行う証券会社の税の対応なども確認してから投資することをおすすめします。
③万一の相続対策
外国の金融機関で口座を持っている時に万一死亡すると原則、国際相続手続きが必要となります。
国際相続手続きは時間だけでなく、弁護士などへ多額の費用も発生します。
万一の死亡した時でもご家族が手続きに困らないように事前の対策をおすすめします。
タイ駐在中におすすめの資産運用方法
タイ駐在中におすすめの資産運用方法は次のとおりです。
①外国証券会社で個別株式・ETF(上場投資信託)
②日本証券会社でiDeCo(個人型確定拠出年金)
③香港貯蓄型保険
※②は積立投資、③は一括または短い期間での分割投資に適しています。
それぞれどのような方法で資産運用ができるのか?その他にメリットとデメリットをわかりやすく解説していきます。
《外国証券会社》
タイ駐在中も日本株や米国株などへ投資ができます。
タイ駐在員が多く活用している証券会社を3つご紹介します。
①Interactive Brokers(IB証券)
▶︎WEBサイトはこちら
IB証券は米国のオンライン証券会社であり、米国内だけでなく海外からのユーザー数も伸びている証券会社です。
【メリット】
・日本株・米国株などへ投資可能
・一部日本語対応
・24通貨のマルチカレンシー口座
・口座維持手数料が無料
・DRIP機能(配当金の自動再投資機能)
・死亡時に備えて共同名義の設定が可能
・居住地以外の銀行口座へ送金可能
・証券口座から引き出す際の電信送金が月一回は無料
・Wiseの利用が可能
【デメリット】
・米国株や日本株の取引手数料が発生(米国株1回あたり1ドル/日本株1回あたり0.08%)
・証券口座内の利息(MRF)が10,000ドル未満は発生しない
【ポイント!】
株取引の際に手数料は発生しますが、タイに居住しながら簡単な手続きで日本の口座やWiseの米ドル口座などへ資金を戻すことができるのはとても便利です。
日本語対応も嬉しいサービスです。
タイ居住中に日本株や米国株を始めたい方におすすめの証券会社です。
②Firstrade(ファーストレード証券)
▶︎WEBサイトはこちら
Firstrade証券は1985年創業のアメリカのネット証券会社です。
現在では日本やタイ、シンガポール、マレーシア等を含む28か国にサービスを提供していす。
【メリット】
・取引手数料が無料
・口座維持手数料が無料
・DRIP機能(配当金の自動再投資機能)
【デメリット】
・取扱通貨が米ドルのみ
・証券口座内の利息(MRF)が0.5%と低い
・居住国以外の銀行口座へ資金を引き出す場合は審査が必要
・共同名義はできるものの、資金を受け取るときは原則、共同名義口座のみ
・Wise送金が不可
【ポイント!】
手数料無料で米国株へ投資ができます。
ただし、資金の引き出しは原則、居住国の銀行口座となるため、タイ居住中に売却をするとタイ国内へ資金を持ち込みしたことになり、タイでの所得税が課税される場合があります。
またWiseの利用ができないのも残念。
③Phillip Securities(フィリップ証券)
▶︎WEBサイトはこちら
フィリップ証券はフィリップキャピタルグループの1社です。
シンガポールに拠点を置き、世界16か国と地域に展開しています。5,000名以上のスタッフを持ち、預かり資産350億ドル以上の規模を誇ります。
【メリット】
・日本株・米国株などへ投資が可能
・日本人スタッフ常駐
・10通貨のマルチカレンシー口座
・死亡時に備えて共同名義の設定が可能
・MMFの自動設定が可能で100USDから利息発生
・居住国以外の銀行口座へ送金可能
【デメリット】
・日本株・米国株の取引手数料などが高い
・Wise送金が不可
【ポイント!】
MMFの自動設定が100USDから利息が発生します。2024年5月現在、MMFは年5%前後で推移しています。
日本株や米国株の取引手数料の他に口座維持手数料などが発生する場合がありますので取引手数料はあらかじめ確認することをお勧めします。
日本人担当者がいるのは安心ですが、Firstradeと同じくWiseの利用ができないのは残念。
《日本証券会社》
④iDeCo
▶︎WEBサイトはこちら
タイ駐在中もiDeCoを活用して積立ができます。
詳細はこちら
【メリット】
・日本にある資金で積立可能
【デメリット】
・所得控除などタイ駐在中はiDeCoの恩恵を受けることができない。
【ポイント!】
日本にある資金を積立しながら将来の年金などをつくることができます。
タイ居住者がiDeCoを行う場合は国民年金の任意加入者である必要があります。
《香港貯蓄型保険》
『資産を守る』・『年金をつくる』ことを目的に機関投資家である保険会社が主に債券市場へ運用を行います。
日本の貯蓄型保険とは仕組みや利回りが異なり、一定年数を超えると元本を確保したまま複利で資産が増加します。
また、変動リスクを低減していますので、少しまとまった資金を活用して運用を行う場合に適しています。
一部の保険会社は法人登記国を香港からイギリス領のバミューダなどへ移転し、チャイナリスクを回避します。
タイ駐在中にまずは知ることから始めることをおすすめします。
⑤SunLife(SunJoy)
▶︎WEBサイトはこちら
1865年にカナダで創業した長い歴史を持つ大手保険会社です。運用総資産額は約160兆円。現在では世界27カ国に拠点を展開し、カナダ・アメリカ・フィリピンで上場しています。
サンライフ香港は、サンライフグループのアジア主要拠点として1892年に設立されました。
▶︎SunJoyの商品概要はこちら
【メリット】
・安定した年金資産の形成
・価格変動リスクの低減
・クレジットカードやWise、銀行送金など支払い方法が可能
・世界中の銀行口座で受け取りができ、本帰国後も継続可能
・配偶者や子供などへ名義変更可能
・死亡時の国際相続手続きの回避
【デメリット】
・短期で解約した場合に元本割れをする(6年経過未満は元本割れが確定)
・為替リスクがあります。
タイ駐在員におすすめしない資産運用
①元本確保型の海外積立商品
15年後に140%の元本を確保しながらS&P500へ積立する商品もあるようです。同様の商品を販売していた会社が2021年にトラブルを抱えた事象が発生しています。この会社が将来どうなるかは分かりませんが、敢えて選択をする必要は無いかと思います。
<参考記事>
▶︎【タイ在住者必見】15年後に140%保証の海外積立商品??
②タイの金融商品全般
タイの金融機関を通じた資産運用はタイの銀行口座で資金のやりとりをしますが、タイの銀行口座は原則タイ居住者向けです。
タイのTAXIDや日本のマイナンバーなどの届出をしていないタイの銀行口座は本帰国後に長期的な維持が難しくなる可能性があります。
<参考記事>
▶︎バンコク銀行HP ご帰国時の預金口座解約のお願い
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。今回はタイ駐在中におすすめの資産運用方法をまとめてみました。
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